ローバーミニ(Mini、ミニクーパー)エンジンのオーバーホールを順を追って解説、
今回はMTミッションのプチオーバーホール 交換組み立て編として シンクロリング交換と一部ベアリング交換について解説します。
全てのオーバーホールではないので参考になるか不明ですが・・・・
目次【MTミッションのプチオーバーホール作業について解説 】
使用する道具/用具
使用する道具は以下です。
- インチボックスレンチ
- ミリボックスレンチ
- ラジオペンチ
- 精密ドライバー(100円ショップの物で可)
- プラハンマー
- 万力
- 専用ツール数点(ショップよりお借りしました)
- シンクロナイザー3本(4速は再使用)
- ミッションO/H用パッキン・シールセット
- WAKOS ASP エンジン組付けペースト
ミッションパッキンシールキット、シンクロリングはミニスペアーズで注文
MTミッションのプチオーバーホールの内容
今回のMTミッションO/Hはプチオーバーホールの内容となります。
前回記事の内容とラップしますが改めて引用致します。
対象のミッションは走行距離約8万km弱と比較的低走行です。
状態にもよりますが使えるベアリングはなるべく使う方向でプチオーバーホールをする内容です。
分解時に発覚した2速シンクロの摩耗、1速、3速も少し摩耗があり交換する事に致しました。
●交換部品
シンクロリング1速、2速、3速を交換
ベアリングに関してはメインギアとレイギアの内部ベアリングを交換
レイギア内ベアリング×2個
メインギア内ベアリング×4個
ロックワッシャー一式
マニュアルトランスミッションの組立手順
●メインギアのオーバーホール
1、メインギアから3、4速シンクロハブと1速ギアはスライドし取り外します。
2、1速側シャフトを万力に垂直に挟み(ウエス使用)固定。
3、3速ギアの根元に歯車タイプのカラーがシャフトから出てるロックピンで固定されています。
ロックピンはスプリングで保持されていますので精密ドライバー等でメインシャフトに押し込みながら
歯車状カラーを回転させ凸凹が合った状態で上にずらします。
4、歯車状カラーが外れたらロックピンをラジオペンチ等で取り出し、3速ギアを抜き取ります。
5、3速ギアを外すとローラーベアリングが見えますのでこれを取り換え、
ワコーズのエンジン組付けペーストASPとエンジンオイルを少量塗布後、元のように組み立てます。
6、1速側のメインシャフト側根本にローラーベアリング用のカラーが挿入されてますので、
マイナスドライバー等で裏側から軽く叩きカラーを抜きます。
(シンクロハブが邪魔になるようならボールとスプリングを無くさないように外リングをスライドし分解する)
7、カラーが抜けたら1速側を上にして万力で挟み直し、出ましたまたまた2速ギアの歯車状カラー、
今度はピン2か所おります。(汗 しかも貫通タイプ…
ピンの押し込み順序がありよく観察すれば分かります。
第一にピンを押し込んだ後、カラーを少し回転、2つめのピンを押し込んで少し回転すると歯車位置が合いますが
勢い余って余分に回転すると一からやり直しです。根気よく作業してください。
カラーは2速ギアの底辺を押し上げると抜けやすくなります。
8、次に2速ギアを抜くのですがまたまたロックピンが邪魔、今度はロックピンを外せません。
この2速ギア部はロックピンを片一方ずつ押し込みながら2速ギアを上に引き抜きます。
9、2速ギアが外れたらローラーベアリングが見えてきますので交換、給油。
10、交換したら2速ギアを組付けますがハタと作業が中断、歯車状カラーが入れられない・・・
ピンを抑えながらカラーが入らない、これはどうしたものか?っと悩んでいたら
よく観察すると2速ギアの側面に小さい穴が!!
ここからピンを押し入れリングを挿入する事のようです。
整備書には細かい外し方入れ方は全く載ってない・・・
11、次に2速の新品シンクロリングを給油し取り付け。(溝がある方を2速ギア側)
12、次にシンクロハブを組み立てます。
ショップからは「ここで手が3本いるので厄介です」と脅されていましたが、
簡単な取り付け方を思い付きました。
広めのタイラップバンドを購入しシンクロハブの内側に軽く巻き付けます。
一か所ごとにスプリング・ボールを挿入しバンドをズラして、それぞれ挿入。
最後に内側と外側リングを合体すれば超簡単に挿入できます。
【注意】内側と外側に向きが有り反対に組み付けた場合、ギアはまともに回転しないしミッションケースに挿入出来ませんので向きをハッキリ認識して組み立てます。
13、1速2速用シンクロハブを向きに気を付けて挿入後(動画参照)。
14、次に1速用ローラーベアリングカラーを元に戻し、シャフトをひっくり返して、
3速シンクロリングと3速4速用シンクロハブを取り付け。
15、万力から外し横にして1速ギア用ベアリングを取り付け給油、
1速のシンクロリング装着、1速ギア挿入取付し準備整いました。
●ギアをミッションへ組付け
今回シフトフォーク、リンケージは分解しておりませんので省きます。
1、オイルストレーナー仮付しバックギアを挿入
2、メインギアをミッションケース内部でずらしながら挿入しシンクロハブ2か所をシフトフォーク上にセット
3、1速側のシャフトベアリング仮挿入し保持、4速ギア中央のローラーベアリングを新品交換挿入給油、
4速シンクロリングを挿入し、4速ギアとシャフトベアリングが一体の状態でクラッチ側から挿入
専用ツールとプラハンマーで叩き込みCリングを挿入
4、今度は反対側の1速側から専用ツールとプラハンマーでベアリングを叩き込む、
限界まで行くと金属音に変わり、1速ギアの横方向にガタが無くなります。
5、次にレイギアの内部ローラーベアリングを新品に交換、両サイドのスラストワッシャー交換給油
クラッチ側のスラストワッシャーを宛がいクラッチ側からシャフトを挿入しレイギアを落とし込む
シャフトを通しながら反対側のスラストワッシャーも入れシャフトを挿入
6、次にスピードギア側のベアリングリテーナーを付けますが、リテーナシムが最初です。
※もしシャフトベアリングも交換する場合はシムの厚みを変える必要が出ます(ここでは省きます)
シムの次にレイギアシャフトとバックギアシャフトのロックプレートを位置決めし
最後にリテーナーを取り付け、締め付けトルク18Nm、ロックワッシャータブを起こしてロック
7、オイルパイプ取り付け、オイルストレーナー本締め。
8、スピードギア側、ファイナルギア挿入、ロックワッシャー、ロックナット取り付け
クラッチ側 ファーストギア、ロックワッシャー、ロックナット取り付け
シフトシャフトは連結させてない状態で、1速と4速のギアを同時に入れメインギアシャフトをロック
ナットは両サイド共に締め付けトルク203Nm
ミッションをプレスなどで固定しないと締め付けできません。
9、ナットの締め付けが終われば1速と4速のギアを元に戻し、シフトシャフトの連結も戻し
シャフトを回転したり押したり引いたりしながら1速~4速、バックと操作出来る事を確認し
最後にロックワッシャーのタブを起こしロックします。
まとめ
初めてミッションの分解をしましたがMTミッションの構造が分かってなかったら苦戦するかも?
もし挑戦されるのであれば専用ツールをお借りできるショップを見つけてからがベターかと思います。
難易度は高いと思います。
- 使用する道具/用具について
- MTミッションのプチオーバーホールの内容
- マニュアルトランスミッションの組立手順
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