ローバーミニ(Mini、ミニクーパー)エンジンのオーバーホールを順を追って解説、
今回はカムスプロケット、カムチェーン組付け後、チューニングカム使用時の簡易的なバルブタイミング確認方法について解説します。
バルブタイミング確認方法はノーマルカムであれば確認不要ですが、勉強がてら測定するのも面白いと思います。
ローバーミニ、カムシャフトとピストンの組付け方法の記事はこちらを参考にしてください。
目次【カムチェーン組付け 簡易バルブタイミング確認方法についての解説 】
使用する道具/用具
使用する道具は以下です。
- インチボックス・ミリボックス ラチェッセット
- トルクレンチ
- オイラー
- エンジンオイル少量
- リチュームグリス
- 液体ガスケット
- 新品フロントクランクオイルシール/パッキン類
- 新品チェーン/チェーンテンショナー/ロックワッシャー
- WAKO'Sエンジン組み立てペースト
- ダイヤルゲージ/ゲージスタンド
- 全周分度器(お手製でも可)
ガスケットセット/シール類はミニスペアより購入
http://www.minispares.com/default.aspx
カムチェーン近辺の組付け方法
まず各パーツはキレイに洗浄しご用意ください。
新品のフロントクランクオイルシール/パッキン類/チェーン/チェーンテンショナー/ロックワッシャー
を用意しておきます。
ダイヤルゲージ/ゲージスタンドも必要です。
画像は4番シリンダーで撮影しておりますが、必ず1番シリンダーで測定して下さい。
1、最初にカムチェーンのバックプレートを取り付けます。
パッキンが当たる辺りを脱脂し薄く液体ガスケットを塗布、プレートを取り付けますが、
クランクの半月シール周辺は多めに塗布します。
固定ボルトはタイトロック液を付け締め付け、カムシャフト固定プレートは穴位置が1っか所しか合いません。
締め付けトルク:11Nm
2、次にクランク側のスプロケットとカム側のスプロケットを仮に挿入し平行度を定規をあてて確認する。
ズレが多い場合はクランクシャフトのキー奥にあるシムを増減し調整。
カムやスプロケットが元のノーマルのままなら未チェックでOK。
3、次にシリンダー1番の圧縮上死点を出します。
方法としてダイヤルゲージ/ゲージスタンドを使用しダイヤルゲージの先端を1番ピストンに合わせます。
その後、吸気と排気のプッシュロッドを入れ
ピストンが最も上がった所とプッシュロッドの左右差が無い辺りが圧縮上死点です。
この時点でダイヤルゲージをセットしますがゲージ針が1回転した辺りで固定します。
ダイヤルゲージの使い方については詳しく説明されているサイトをご参照ください。
4、次にクランクプーリーに圧縮上死点の刻みに合わせ全周分度器を取り付け、私の場合お手製の分度器を養生テープで固定
5、次にバックプレートに針金を1本固定し反対側をクランクプーリーに取り付けた全周分度器の圧縮上死点に合わせる。
6、ダイヤルゲージをセットできましたら圧縮上死点でクランクを止めます。
やり方は針がグルグル回って止まり反転しますが、反転の前0.1㎜メモリを分度器から角度を読み取り、反転後0.1㎜メモリも読み取り、両方の角度の中心が圧縮上死点です。
私の場合ザックリ確認でしたので針が止まった瞬間を圧縮上死点としましたが1-2度違う場合が出ますのであまりお勧めできません。
7、圧縮上死点がでたらクランクは絶対に回さない様に一旦プーリーを外す。
8、クランクのスプロケットとカムのスプロケットには合いマークがあり、合わせた状態でチェーンを掛ける。
9、クランクとカムシャフトに少しずつ挿入して行きますがカムのキー角度が合わない場合は、カムシャフトだけ手で回して会う位置を探します。
挿入出来たらカムナットで軽く固定
10、挿入出来たら合いマークが合ってるか再確認、次にチェーンテンショナーを取付、テンショナーの支点ピンは裏側から挿入。
テンショナーをチェーンに押し付けボルト2本を固定。
締め付けトルク:22Nm
整備マニュアルにテンションの事が載ってないので不明ですが、調整範囲は最大で固定ではないかと思いますが、張り過ぎの感じもあり私は僅かに緩い状態で固定しました。
11、ここまで出来たらまたクランクプーリーを仮付けし、もう一度1番のトップを出し、再度針金の位置を調整しバルタイ確認の準備が整いました。
【注意】組付け時ASPやオイルを付けるのを忘れずに!
念のため数回クランクシャフトを回転させスプロケットの合いマークが合わさる所があるか確認しておくとさらに良いです。
チューニングカム(ハイカム)のプロフィール確認方法
O/H時カムぐらいは変えてみたと考える方へ!
何社かチューニングカムが販売されておりますが、バルブタイミングを合わせ直さないと使えないカムがそこそこ有ります。
出来ればポン付けカムが嬉しいので私の経験で使用しているカムをご紹介致します。
メーカー:KentCams
今回取り付けたカムもこのメーカーの物です。
MD256とMD266はポン付け可能を確認済みです。
また各カムのプロフィールの確認にも使えますのでご案内いたします。
サイトにアクセスすると以下の画像のようにチェックボックスを選択するとMini用のカムリストが出てきます。
次に好みのカム 「Details」をクリックするとカムのプロフィール内容が出てきますので確認出来ます。
簡易バルブタイミングの確認方法
カムチェーンも組み上げ1番ピストンが圧縮上死点に合わせてください。
Miniの様にOHVのエンジンではヘッドの装着は不要です。
バルブタイミングの確認は吸気側のカム頂点(ロブセンター)の角度を測る事で概ねOKです。
細かく測定しバルブタイミング調整をされたい方は調整用スプロケットを調達する必要が出ますので
この場では解説しません。
チューニングを主体に解説されているサイトをご参照ください
※画像は動画で見やすい様に4番で測定しております。
1、それでは、1番シリンダーの吸気と排気のプッシュロッドを差し込みます。
圧縮上死点であれば左右のプッシュロッドの高さが合ってるかと思います。
2、吸気側のプッシュロッドの先にダイヤルゲージをセット
3、クランクプーリーを少しずつ回転させるとダイヤルゲージの針がグルグルと回り始めますので、
反転する所を概ね確認します。
4、その後2回転程回すと針が停止した辺りがカムの頂点が来ますので反転針が止まる所からメモリで0.1㎜手前のクランク角を記録、針が反転し同じくメモリで0.1㎜後のクランク角を記録。
その中央がカムの頂点(ロブセンター)となります。
例えば針が止まる手前0.1が104度、反転後0.1が108度だとすると、
(104+108)/2=106度
ザックリ確認で良ければ針が止まった瞬間のクランク角で判断してください。
誤差も考え1.5度ぐらいを許容範囲と考えております。
5、カムのデータと同じがベストですが+-1度ぐらいの誤差を許容範囲とお考え下さい。
ロブセンターを測定する事でバルブの開閉角度も概ね合っていると思われます。
純正カムのロブセンターは115度(吸気開き5度閉じ45度)5+180+45=230/2=115
マニュアルでは998、1100、1275㏄全て同じでした。
なお測定時吸気のロブセンターは分度器の左側に測定位置が来ます。
Web上でバルブタイミングを説明している画像では右側に描かれておりますが画像の殆どはオーバーラップ位置から描かれており圧縮上死点から1回転したところからの図となります。
実は私長らく圧縮上死点からの図と勘違いしており測定位置が左側に来る事が理解できない時がありました。
皆さんも勘違いにお気をつけください!
6、測定が終わればフライホイールを仮付けしフライホイールをツールでロックし、カムのロックナットを締め付けロックワッシャーのタブを起こします。
カムシャフトロックナット締め付けトルク:88Nm
7、カムチェーンカバーのクランクシールを新品し薄くグリスを塗布しカバーをパッキをかえして取り付けます。
パッキンあたり面には薄く液体ガスケットを塗布する。
カバーのボルト締め付けトルクは7か11Nmなのでラチェットで手トルクの力でOK。
細かく言うとロックしたところから1/10回転ほど回すだけ。
まとめ
チューニングカムを選ぶ基準が以外と難しいですね、レースでもしていない限りエンジンのO/Hは1度で終わらせたいものです。
作用角度の大きいチューニングカムを選びがちですが、ケントカムで言うとMD256又はMD266が街乗りとレース場の走行会には十分の様です。
ご参考まで・・・・
- 使用する道具/用具について
- カムチェーン近辺の組付け方法
- チューニングカム(ハイカム)のプロフィール確認方法
- 簡易バルブタイミングの確認方法
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