ローバーミニ(Mini、ミニクーパー)エンジンのオーバーホールを順を追って解説、
今回はフライホイール、クランクプーリーの取り外し及びクラッチ分解について解説します。
目次【フライホイール、クランクプーリーの取り外し方解説 】
使用する道具/用具
使用する道具は以下です。
- インチボックスレンチ
- ミリボックスレンチ
- 1-5/16インチのボックス 30mmのボックス
- ウォーターポンププライヤー
- -ドライバー又はポンチ
- フライホイールロックツール
- ミニ専用フライホイールプーラー
- ハンマー(特大ハンマーが有ればなお良い)
フライホイール、クランクプーリー取り外しの手順
●クランクプーリーの取り外し
フライホイールロックツールを使いクランクシャフトが回らない様にロックする。
クランクプーリー中央のボルトを外す前にロックワッシャーを解除し、
1-5/16インチボルトを外す。
ボルトは外れたらプーリーをクランクシャフトから取り外す。
●フライホイールの取り外し
クラッチカバーに取り付けられているエンジンマウント、
クラッチアーム、中央クラッチプランジャーのロックナットを予め外しておく。
フライホイールロックツールを使いクランクシャフトが回らない様にロックする。
次にクラッチカバー固定ボルトを全て外しカバーも外すとフライホイールアッセンブリーが見えます。
※1982年頃からクラッチの仕様が変わり今回のサンプルは82年以降のモデルとなります。
中央に穴の開いたコップの様な物(クラッチスリーブ)が被さっておりますがこれを外し作業開始です。
一般的な車の場合プレッシャープレートを外しクラッチ板を外しますが、
ミニは順番が違います。
まずクラッチのプレッシャープレートを分解せず付いたままフライホイールごと外します。
フライホイールアッセンブリーはクランクシャフト中央の1-5/16インチのボルト1本と
クランクシャフトテーパー部の嵌合で取り付けられています。
1-5/16インチのボルトはフランジワッシャー付きボルトとなっておりロック部分を元に戻し
ボルトを緩めますが15kgmぐらいのトルクで締めてますので必ず2人で作業してください。
ボルトが外れたらミニ専用フライホイールプーラーを使用します。
経験上ある程度の金額の物を選択する事をお勧めします。
画像の物でも外れますが、過去にどうしても外れない車両があり、やむなく別作して頂きました。
使い方はプレッシャープレートにボルト3本で固定中央のボルトを締めて
クランクシャフトテーパー部の嵌合部を離脱させます。
中央のボルトの先にクランクシャフトの保護の為の当てスペーサーは必ず付けて締めてください。
(動画参照)
ボルトを締め上げても外れない場合にハンマーでこのボルトを叩きショックを与えると外れる場合がございます。
(あまり強くやりすぎるとクランクシャフトとエンジンブロックに損傷が出る場合があるので程々に)
ボルトを締めたり叩いたりを繰り返し、時には潤滑スプレーをクランクボルト周辺に塗布後1日置いてから作業したりとプレッシャープレートの嵌合を外すのに苦労します。
●クラッチ板の取り外し
取り外したフライホイールアッセンブリーを床に置き、プレッシャープレート周辺のボルトを外します。
2kgmほどのトルクで締まっているだけですので意外と簡単に外れます。
カバーを外せばクラッチ板は外れますが、取付向きにを確認する事を忘れずに。
中央のフランジが飛び出てる方がエンジン側となります。
パーツの良否、状態確認で交換パーツを決める
クラッチカバーにあるクラッチプランジャー、クラッチアーム、スラストベアリング、
ベアリング固定Oリングなどは走行距離5万Km以上であれば交換しておく。
フライホイールアッセンブリーで取り外した場合はフライホイール固定ボルトは必須交換、
クラッチスリーブ(穴の開いたコップの様なパーツ)は状態と使用距離により要交換(8~10万kmが目安)
クラッチ板、プレシャープレートも要交換
プレッシャープレートの板バネ先端、クラッチスリーブが当たる部分に削れがあれば必ず交換
通常のクラッチ交換の場合はクランクシャフトのオイルシールも交換する事をお勧めします。
まとめ
クラッチ交換だけの場合もほとんど交換するパーツは同じです。
特にクラッチプランジャーとクラッチアームは消耗が少なければ再使用可能ですが、
ついでに交換しとくと10万kmぐらいは安心できます。
- 使用する道具/用具について
- フライホイール、クランクプーリーの取り外しの手順
- パーツの良否、状態確認で交換パーツを決める
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