ローバーミニ(Mini、ミニクーパー)エンジンのオーバーホールを順を追って解説、
今回はシリンダーブロックの状態確認とピストン重量合わせについて解説します。
シリンダーブロック状態確認はピストンリング合口隙間で見るシリンダー摩耗具合簡易判定方法、
ブロック上面の平面度合、簡易確認方法について解説いたします。
ミッションとブロックの分離記事はこちらを参考にしてください。
目次【シリンダーブロックの状態確認ピストン重量合わせについての解説 】
使用する道具/用具
使用する道具は以下です。
- ピストンに合った新品のピストンリング
- 60cm以上のステンレス直定規
- シクネスゲージ
- マグライト
- グラインダー
- 2Kgまで測れるデジタルハカリ
- トレイ又はタッパなどピストンコンロッドがそっくり入るトレイ
確り測定したい場合はマイクロメーターとシリンダーボアゲージが必要です。
シリンダーブロックの状態確認
シリンダーブロック状態確認をするにあたり簡易的に確認する方法を解説いたします。
概ね以下の2点の確認は必須となります。
- シリンダー内径の摩耗状態確認
- シリンダーブロック上面の平面度確認
●シリンダー内径の摩耗状態確認
今回はピストンに合った新品のピストンリングを使って確認します。
確り測定したい場合はマイクロメーターやシリンダーゲージを使っての測定となりますが、
プロ以外は1度しか使わないシリンダーゲージなどが購入すると無駄になってしましますので、
簡易的に測定できる方法の解説と致します。
簡易方法はピストンに合った新品のピストンリングを使って測定します。
予めピストンに合ったピストンリングは入手しておいて下さい。
1番リングを使います。
ピストンリングをシリンダー内に押し込み、ピストンを逆さまにしてピストンリングを約1~2㎝ほど
押し込みシリンダー内で平行に挿入します。
押し込んだピストンリングの合口隙間をシクネスゲージを使い測定する事によりある程度摩耗状態を推測できます。
マニュアル書ではエンジン排気量により規定値が異なります。
1000㏄以下:0.178-0.305mmの間
1300cc :0.28-0.41mmの間
一般的には0.5mmでも規定範囲とみなしてる様です。
この間の数値であれば殆ど摩耗が無い状態、例えば1mmの合口隙間であれば規定値の倍ですので
ボーリングし+20のオーバーサイズピストンを投入しないとダメなレベルと私は考えており、
仮に0.7mmぐらいであればもう一度スタンダードピストンで組み上げる感じですかね。
個人々の考え方によりますが…
プロは0.5mm以上はオーバーサイズピストンを選択するのが必須になるのかな?
今回の個体は合口隙間0.3mmでしたので私は問題ないレベルと判断しております。
なおオイル管理が確りされているエンジンでは10万Km走行でも規定内の数値になるようですね!
●シリンダーブロック上面の平面度確認
ブロック上面はスクレパーでゴミは取り除き、オイルストーンで軽く汚れを取り除きます。
けっしてゴシゴシ研磨しないこと。
道具は60㎝以上のステンレス直定規とマグライトを使って簡易判定をします。
ステンレス直定規を画像の様に当て裏側からライトを当て光が漏れてこないか確認します。
横方向、右斜め、左斜めの角度に定規を当て光の漏れを確認、
特にシリンダー間を確認してください。
光が漏れてきたら内燃機屋さんへ出しシリンダーブロック上面を修正研磨して頂きます。
その場合シリンダーヘッドも歪がある事は確かとなりますのでこちらも出します。
修正をDIYでされる方もいらっしゃいますが失敗した時に後戻りが出来なくなりますので今はお勧めしません。
そう言う私も1度挑戦した事がありますがやはり歪は完全に取り切れておらずヘッドの隙間からクーラント漏れを経験した事がございます。www
ピストン重量合わせ
ピストン重量合わせの目的はスムーズにエンジンを回すためです。
現在のエンジンでは先ずする必要がないほど揃っておりますが、
ミニのエンジンは基本設計が1950~60年代ですので結構違いが出てきます。
これを揃えることで特定回転数でのエンジン振動が無くなり、スムーズな回転になります。
必ずする必要はないと思いますが簡単な作業ですので解説致します。
●使う道具
キッチンデジタルハカリ、2kgまで測定出来る物
コンロッド+ピストンが乗せられるトレイ
トレイをハカリの上に乗せゼロ調整しピストンセットを1番~4番まで測り記録、
一番軽い物に近付けるよう他のピストンセットの重量を落とす。
私はグラインダーを使ってコンロッドの荒い面を整え削り落とします。
今回の事例
1番:911g
2番:916g
3番:911g
4番:916g
全て911gに合わせました。
削った面はオイルを付け錆びないように組付けまで保管します。
まとめ
今回の測定とチェック方法は簡易的な物ですが修正をしないとダメなエンジンかどうかは判断がしやすい方法と思っております。
ちなみに動画で出ているデトマソミニのエンジンなどはプロが組み上げたエンジン走行1000㎞を、
再度私がO/Hしたのですがエンジンを間違ったチューニングで組み立てられており、
これはダメだ!って驚きました。
どおりで前オーナーはエンジンの調子が悪く手放した訳です…
1300㏄にフラットトップピストンを使わないのが一般的で、使うと圧縮比が1.4弱とになり
普通に乗れない状態になります。
プロのショップでもこんな間違いをするのか!っと驚いたものです。
こんな間違いをしていても何とかエンジンは回るもんだなぁ~って事で少しのクリアランスオーバーは寛大に見てます。
- 使用する道具/用具について
- シリンダーブロックの状態確認
- ピストン重量合わせ
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